蒸溜紹介

Facility

里山の手入れ

里山の会の手入れに参加

STEP
1

杉の裁断

山から下ろしやすい大きさに裁断

STEP
2

杉の丸太

裁断した丸太を小屋に運び入れる

STEP
3

杉のチップ

裁断機を使用してチップ状にする

STEP
4

杉チップ計量

蒸溜1回分を軽量する

STEP
5

蒸溜器

6時間かけてゆっくり蒸溜する

STEP
6

芳香蒸留水

抽出した芳香蒸留水を抜き摂る

STEP
7

精油採取

最後に精油30mlを収穫する

STEP
8

おばあちゃんとアロマ

2008年から鎌倉市内の高齢者施設でアロマハンドトリートメントを担当することになりました。

それは、長年父の介護を体験していたことで介護される人だけでなく介護を担う人にもサポートが必要であると実感し、アロマセラピストの視点で話しをしていたことを、地域の新聞で紹介されたことがきっかけになりました。

こちらの施設は自立型の介護施設で、入居者の方々が自由に楽しむことができる講座があります。

その講座の一つとしてアロマセラピーを担当することになりました。

施設長はアロマセラピー効果、癒やしにとても理解が深く、介護の現場にも芳香療法をいち早く取り入れたいと実現されました。

講座の内容は、精油を香らせた部屋で入居者さん同士がお互いにアロマオイルトリートメントを施します。

みなさん、部屋に入るときや椅子に座るときなど、ぎこちなくて、どこかよそよそしい態度に無表情な顔ですが、時間の経過とともに、顔色も明るく緩み、笑顔が見え始めました。

最後は、私がお一人お一人の手をマッサージするのですが、その頃にはすっかり会話も弾み、香りにまつわる思い出話しをしてくれるのです。

香りを嗅いでると、「いい香り」「懐かしいわ」「どこかで嗅いだことがあるわ」と…手をクンクンしながら

102歳のおばちゃんが小学校の遠足の思い出を。

90歳の方は兄弟で一緒に遊んだ裏山での出来事を。

80歳のおばあちゃんは、ご主人と旅行しとても楽しかったと

みなさん、嬉しそうに話してくれました。

別の90歳のおばちゃんは押してきた手押し車を忘れて、一人で歩いて部屋に戻りました。

椅子の横に杖が置き去りになることも度々起こりました。

表情が緩み笑顔になり、そして嬉しそうな幸せそうな顔になります。

「香りの力」のすごさを目の前で毎回見ることとなったのです。

そしてそれはとても貴重な時間になっていきました。

香りの作用は精油を学び、伝える者として十分に理解をしています。

しかし、この体験はとても衝撃的でした。

まるで、私が魔法使いにでもなったようでした。

高齢者の皆さんの驚く変化は私だけでなくスタッフのみなさんも驚きでその後の様子も変わると喜んでくださいました。

施設でアロマハンドトリートメントを始めたことで私の中に新しい思いが芽生え始めました。

募る思い

精油の香りが楽しかった記憶を蘇らせる。

いつしか記憶に残る、蘇る香りをつくりたい。香りで人は一瞬にして幸せの時を取り戻すことができる。

私たちが暮らす鎌倉にはみじかに自然があり、山があり、植物がたくさんあります。

暮らしの中で触れる香りがたくさんあります。

そうした日常の暮らしの中ですごした時間が思い出になります。その思い出がいくつになっても香りとともに蘇ります。

幸せなひとときを感じることができる香りって素敵だなあ。

目の前で起きたことをもっともっとたくさんの方にも体験して欲しい。

そして、

人々の健康に食の地産地消が有るならば、香りの地産地香があってもいいのでは、と思うようになったのです。

海があり、山がある鎌倉では農業や漁業が盛んでここに暮らす人々の生活を豊かにしています。

また自然豊かな鎌倉は歴史を刻んだ名所がたくさんあり、一年通して多くの方が訪れてきます。

遠足、修学旅行、家族で、友人と恋人と楽しい時間を紡いでいかれたのではないでしょうか。

楽しい時間、幸せな時間がいつの日か思い出になり、記憶の片隅のなります。

香りはいくつになっても時を超えて蘇ることを、施設で出会ったおばあちゃんから教えてもらったのです。

そんな幸せなひとときを感じる香りを作りたいと強く思いはじめました。

そして、おばあちゃんたちに届けたい。

出会い

「作りたい!」

いつしか出会う人に挨拶のように「鎌倉の香りを作りたい!」と話していました。

何をどうやって、どのようにしたら可能になるかもわからずに、ただただ「作りたい!」と思いだけをあふれんばかりに話していました。

そんな夢物語に耳を傾けてくださるなかで出会いが起きはじめました。

応援してくださった方から鎌倉市内で環境問題に取り組みながら森林伐採をしている株式会社ベルウッドの社長さんをご紹介してくれました。

こちらの会社は里山保全のために伐採された樹木、竹をそのまま廃棄するのではなく、ダイオキシン類が発生しない特殊な炉で処理をし、黒灰にした物を、伐採した山にすことで循環させることを地元のボランティア団体の方々と里山の整備活動をされていたのです。

「鎌倉の香り」ができるのかもわからない私の話し快く応援をしてくださることを約束をしてくれました。

この出会いが、私の夢物語から実現に向けて、大きな一歩を踏み出すことになりました。

そして、山の整備活動のついても教えて頂きました。

自然の風景を残し、山を保全すること、整備することは山だけではなく

海の環境浄化に繋がること、次世代へつなぎ、共存していくには、ただ放置することでは守れない。

適した作業があり、手を入れることでみどり豊かな自然が守られることを初めて知ったのです。

こうして、鎌倉の樹木にたどり着くことができました。

鎌倉市観光商工業・元気アップ事業

鎌倉では年に一度、鎌倉を元気にする目的のビジネスプランに対して補助してくれる補助金制度があります。

「鎌倉の香り作り」を話していたことで、この制度を紹介してくださったのです。

しかし、それを知ったのは締め切りからわずか2週間前のことでした。

鎌倉の香りはベルウッドさんに出会えたことで作る方向に準備していましたので、新たなチャレンジとして元気アップに応募すること、準備をすることに自信がありませんでした。

限られた時間の中で果たして採択されるだろうか。

過去採択されていたプランを見てたじろぎ、また応募数に対して、創業部門1社、事業定着部門1社と狭き門です。

補助金を頂けたら、資金的に凄くありがたい、でもチャンスと思うより、無謀なことなのではないかと踏み切れずにいました。

迷っている時間がない私の背中を押してくださったのは、制度を紹介してくれた方でした。

また、そうした状況を見かねて、当時小学校の教師をしていた娘が全面的にサポートをしてくれると言い出してくれました。

暮らしの中にアロマセラピーがあり、香りがある暮らしをしていた娘も精油の良さを理解してくれていたのでとても心強かったです。

締め切りまで2週間、苦手な応募書類の作成を夜遅く帰って来る娘と毎晩打ち合わせをしました。

休みにはイメージ写真撮影をし、背中を押してくださった方にもアドバイスを頂き、完成したのは締め切り前日です。

締め切り当日に焦る気持ちを抑えながら、鎌倉市観光商工課へ書類を提出に行きました。

そうして、提出から1ヶ月ほど経った頃、一次審査である書類選考を通過し二次審査・プレゼンテーションの案内が届きました。

到底、一人では書類をそろえ完成することはできませんでした。

二人のサポートに心から感謝する思いと、それまでは運が良ければと神頼みだった自分が、絶対に認定してもらいたいと思いが変わっていました。

何よりも応援してくれた方々に応えたい、鎌倉の香りを届けたいと意欲が湧いてきました。

当日会場に着くと、各発表者同士が顔を合わせないような流れに緊張感でいっぱいになりました。

20名ほどの選考委員の方々の前でプレゼンテーション10分、限質疑応答10分と限られた時間がとても短く、しかし思いの丈を悔いの無いように発表しました。

同伴してくれた娘に「良かったよ、伝わったとおもう」の言葉に、やりきった満足感で心が弾みました。

あとは結果を待つだけです。

採択されなくても鎌倉の香りを作らないのではありません。樹木に出会えたのですから。

8月下旬、待ちに待った結果が届きました。これほど待ち遠しく思ったことはありませんでした。

市役所の封書から「認定事業者」の文字を見つけたときは嬉しくて嬉しくて、舞い上がりました。

やったあ!これで作り始めることができる!自分のことでこんなに喜んだことは何年ぶりだったのでしょうか。

たくさんの方に支えてもらったことで得られたことで得る喜びでした。その応援をこれからしっかり形にすると決めました。

また、認定されたことで、この事業の完了期間が定められました。

それは、年度事業としての補助金制度なので、このプランを翌年の3月までには精油の商品化と、書類の報告をすべて完了し提出です。

わずか7ヶ月間です。さあ、ゆっくりしている時間はありません。

精油をつくる

1,材料

鎌倉の香りを作りたい。と思っていた当初は既存の精油をブレンドして、鎌倉をイメージした香りを作ることを考えていましたが

鎌倉の自然に触れるたびに、みじかな木々を見るたびに疑問が芽生え始めました。

伐採されている樹木はたくさんあるのに。

海外で栽培し抽出した輸入精油から作ることに抵抗を感じ始めました。

それは高齢者施設にいらっしゃる皆さんにみじかな鎌倉の自然を感じてもらいたかったのです。

鎌倉の樹木から精油を作りたい。では樹木はどのようにしたら手にすることができるのか。

どのようにしたら、剪定された樹木の利用ができるのか、地元の造園業の方にもお話を伺いました。

また、市役所の伐採管理場では樹木を譲ってもらえるのか。

保有林の管理はどのようになっているのか。

そうして、出会えたのがベルウッドさんでした。

北鎌倉から八幡宮へ向かう山を地域のボランティア団体「北鎌倉湧水ネットワーク・里山の会」の皆さんが長年手入れをして里山を育てています。

この自然を未来に残すための里山作りは、空気も浄化し、山から海に流れる水も綺麗にします。そのために年に一度決められた期間だけ山に入る、手入れを繰り返し、必要な時に樹木の間伐をします。

手入れは11月からだったので、一緒に里山に入り、手入れをし、間伐した杉と桧を分けて頂きました。

山から丸太を一つずつ下ろし手で運び、その丸太を大切に使用しています。

蒸溜

蒸溜がまだみじかではなく日本で精油作りをしている方も少なく、蒸溜をすることに限界を感じあきらめかけました。

そんな中、少量の材料でも蒸溜をしてくれる業者の方を紹介してもらえ依頼できることになりました。

しかし、着々に準備が進むにつれ蒸溜業者も小規模で行っているので、期間的なことなどが厳しくなりました。

そこに加え、材を送るための運搬費用などコスト面でも予算を上回り委託を断念することにしました。

このまま蒸溜ができなければ材が有っても精油は作れない。振り出しに戻ってしまいました。

既に認定をもらったあとで、辞めるわけにはいきません。

頼めないならば自分でやるしかない。自分で蒸溜すると決めました。

芳香蒸留水を採取する蒸溜はしていましたが、精油の抽出となると、本格的な蒸留器が必要になります。

蒸溜器の購入で選んだのが、佐賀県の黃河さんです。

社長さんに直接会って話をし、趣旨を説明し相談させてもらいました。

蒸溜器の説明を受け、蒸留方法や精油の抽出などを教えて頂き購入前に試験蒸溜をお願いすることにしました。

鎌倉杉から抽出される香りや量についての不安が有りましたが、精油となって戻ってきた香りを手にしたとき「これなら大丈夫!」とワクワクしました。

蒸溜器が届き組み立て材料を釜に入れた時はドキドキして蒸溜器から離れることができませんでした。

精油が抽出できているのか不安で、出てくる蒸留水を見続けていました。

初めて抽出した精油を手にしたときは感動でした。ビーカーの中で光り輝く精油に見とれていました。

材料である杉や桧の形状、量、蒸溜温度、蒸溜時間、外気温度、月の満ち欠けなどを記録しながら毎回抽出される精油抽出量や香りのついての違いなどを比べながら試行錯誤で行いました。

そうしたことを繰り返すことで安定した抽出を行うことができるようになりました。

樹木

鎌倉の里山で伐採した樹は丸太で切り出した状態です。それを一つずつ山から担いで下ろし納屋に運びます。

丸太のままでは蒸溜器に入れることはできませんのでセットするチップ状態にしなければなりません。

先ずは丸太を粉砕機を使用して粉砕するのですが、この粉砕機に入る大きさにするまで手でナタで割っていきます。

ちょうど、薪をつくるイメージです。薪状態になったらやっと、粉砕機に入れチップ状にします。

その工程も始めた当初はトラブル発生で粉砕機が間に合わず、手作業と里山の会の粉砕機をお借りしてのスタートでした。

1回に蒸溜に使用する杉の材料は6キロです。このすべての工程を手作業の繰り返しでおこないます。

この工程が一番苦労で大変だったところです。手にマメができました。

素粒水

蒸溜をするのに必要なのが、水です。植物を水と火で蒸溜をし精油と芳香蒸留水に分かれて採り出します。

芳香蒸溜水にも精油成分が残り、精油には抽出されない成分が含まれていてハーバルウォーターとして広く愛用されています。

精油のように禁忌がなく誰にでも手軽に使用できせいます。そうしたことから蒸溜する水にもこだわりました。

そこで、選んだのが株式会社フリーサイエンスの浄水器で作る素粒水です。

この素粒水が無ければ自ら蒸溜することを現実化しようとは思わなかったと思います。

水の質、エネルギーが違い、特に蒸溜したあとの精油や、芳香蒸留水にも違いがありました。

素粒水は水道水の問題点である塩素、トリハロメタン、ダイオキシン類が完全に除去された水で植物の成分を安全に抽出できたことです。

安定した品質で安心安全な精油、芳香蒸留水を楽しんで頂きたいとの思いが素粒水を使用したことで可能になりました。

素粒水は私たちが暮らすこの地球にもやさしい水になります。環境にも影響を与える素粒水です。

素粒水浄水器について

ロゴマーク

鎌倉の香りは鎌倉に住む方々だけではなく、訪れた方々や外国で暮らす方にも手にして欲しいと思い

和のイメージで作りました。ベースになったマークは日本の家族にはなじみのある家紋を使用しました。

香り

鎌倉の杉、桧を使用しベースにし、樹木のみでブレンドしました。

鎌倉の森林、神社仏閣、ハイキングに訪れたとき、深い自然のなかで思わず深呼吸したくなるイメージです。

木々の中にいるような香りは老若男女とわず、皆さんからホッとおする香りだと言って頂きました。

深い森の木々に抱かれ自分を取り戻していただけたらと思っています。